大先輩のデザイナーが愛したコレクションを奥様へ贈る特別な形見に
「故人が大切にしていたものを、別の形でずっと身近に感じたい」。 こんな思いを込めたご相談は、私によく寄せられます。
今回ご紹介するのは、私が個人的にも大変お世話になっていた、三上博史さん(享年79)の愛用品リメイクです。所沢で「生き字引」「髭爺」の愛称で親しまれた三上さんですが、私にとっては、服飾デザイナーとしての視点やセンスが本当に格好いい、大先輩クリエイターでした。
じつは、三上さんはかつてネクタイのデザイナーとして活躍されていました。 2023年の春に旅立たれた後、ご遺品の中から、コレクションしていた美しいシルクのネクタイの生地サンプルやポケットチーフが大量に見つかりました。
生前の私との交流を覚えていてくださったスタッフさんが、「きっとEIKOさんなら、三上さんの大切な品々を何か素敵なものに変えてくれるはず」と声をかけてくれたんです。
もちろん即答! 奥様へのプレゼントとして、ボニーバッグにリメイクすることになりました。
お預かりしたシルクのポケットチーフは、触れるとやわらかく、繊細でデリケートな素材ばかり。そのままバッグにするには、強度的に少し心配でした。
でも、私のモットーは、古い布の価値を再発見するアップサイクル!
【リメイクの工夫】 品質が良くて扱いやすい接着芯材を厳選し、一つ一つ丁寧に芯を張って補強しました。
【仕立て】 三上さんのコレクションの華やかさが生きるように、たくさんのスカーフをひとつにつなぎあわせ、傷みづらいボニーバッグのデザインを選びました。
ネクタイデザイナーだった三上さんのセンスが詰まった生地は、こうして奥様が毎日使える、世界に一つだけの「形見のバッグ」として生まれ変わりました。
バッグはスタッフさんを通じて奥様にお届けしました。後日、「スカーフがこんなに素敵なバッグになったのかと、すごく喜ばれていましたよ!」と連絡をいただきました。
大切な人の愛用品を、新しい形で蘇らせて、残されたご家族の毎日を少しでも明るくするお手伝いができる。これこそが、私の遺品リメイクの仕事の醍醐味です。
三上さん、少しでもお役に立ちましたでしょうか?きっと天国から、いつものようにご機嫌な笑顔で見ていてくれたと信じています。





