東京都のO.E様より、お母様が大切にされていた14枚の着物を、バッグやスカートへリメイクするご依頼をいただきました。
ご両親がお亡くなりになってご実家の片付けをされていたO.E様は、お母様の遺品である大量の着物を前に「大切に扱いたいけれど、どうしたらいいかわからない」と捨てられずに悩まれていたそうです。そんな折、kibi-ru ACTIONが銀座で開催していた個展にお越しくださり、私たちが着物のリメイクも行っていることを知って、ご相談いただいたことが始まりでした。
80着近くあるお品だったため、「できれば実家に来て実際に見てほしい」というO.E様からのご希望を受け、ご実家へお伺いすることに。お座敷いっぱいに並べられた思い出深い着物を拝見しながら、その場でおおまかなデザインを思い描き、4つのバッグと1枚のスカートへリメイクするご提案をして、着物をお預かりしてきました。
お母様が遺された着物を、日常で使える4つのバッグとスカートへリメイク
着物の華やかな刺繍を活かしたフォーマルトートバッグ
着物の裾にあった華やかな花の刺繍を活かし、フォーマルな場でも持てるようなバッグにしてほしいというリクエストをいただきました。持ち手には黒の牛本革をあわせ、品のある佇まいに仕上げています。
また、内側のポケットには着物にあった家紋の部分を取り入れ、細部までていねいに仕立てました。




お客様の声
華の刺繍が全面に出ているもので、母のここぞというときのものでした。なので、このバッグは布を合わせることなくこれ1枚でお願いし、私もここぞ!というお出かけに使っています。

内ポケットには着物にあった家紋をつけてくださいました。家紋が大好きでとても大事にしていた父の願いが届いたかのようで、なんとも嬉しく、クスッと笑ってしまいました。

甘さを抑えた大人のピンク、ボニーバッグMサイズ
「ピンクは好きだけど甘すぎないデザイン」とのリクエストをいただき、制作したボニーバッグMサイズです。ピンクの着物を中心に3種の布を組み合わせてパッチワーク風に配置。全体のトーンを落ち着かせることで、甘すぎず引き締まった印象に仕上げました。





お客様の声
紫系が好きだった母の「好き」をギュッと詰め込んだものになりました。「好き」のエネルギーは私を軽やかにしてくれているように思います。
アクセントに黒を入れてくださったのは、私にはない発想であり、一方でビシッと感のあるのが好きな私には大変満足な出来となりました。

温かみのある4種の着物を合わせた、ボニーバッグLサイズ
温かい色合いの4種の着物を組み合わせて、使い勝手のよいボニーバッグLサイズに仕立てました。トーンの異なる着物をバランスよく配置し、収納力のある大きめサイズでも、重たい印象にならないように仕上げています。




お客様の声
こちらも3分の1ほど紫系のものを入れていただきました。こちらの紫は淡いので、春にぴったりだと思います。
この紫を羽織っている母の姿を鮮明に覚えています。周りからは浮かず、その上で自分の好きと調和を意識しながら、食事やちょっとしたお出かけに着ていたと思います。

あでやかな緑と赤い持ち手が目を惹く、ボニーバッグMサイズ
鮮やかな緑の着物を主役に、牛本革の赤い持ち手を合わせたボニーバッグMサイズです。コントラストを際立たせ、全体のバランスを見ながら布を配置し、印象的な佇まいに仕上がっています。





お客様の声
緑の着物は遊び心満点で、アジアンのようにも見えて、奈良時代のシックな敷物のようにも見えます。これはぜひバッグに…と思いましたが、自分ではイメージが湧きませんでした。きびるリメイクさんが頭の中でパズルのように布を組み合わせてくださって、赤い取手でまとめてくださいました。

どの面を前にしても楽しめる、落ち着いた色合いの着物スカート
落ち着いた色合いとシンプルな模様の着物を活かし、ふんわりとしたギャザースカートに仕立てました。3色の着物を組み合わせており、どの面を前にしても楽しめるデザインになっています。




お客様の声
なんとスカートにもしていただけるとのこと。スカートはどの面を前に出しても良いというアイデアで、なるほど、これは便利!とお願いしました。


母の物でお願いしたつもりが、なんと紺の着物は男性もの、つまり父のものでした。「おいおい、ママのものばかりを纏うなよ」と父がここでもお茶目に割り込んできてくれたかと思うと、ここでも大笑いです。

このリメイクで、お出かけが楽しくなり、物を大切にする母の思いを繋げた気がします。
ポーチや巾着をセットでつけてくださいましたが、バッグから同じ柄のポーチを出したら、友人からの歓声がすごい(笑)です。
誰かの大切を私の大切に。誰かの好きを私のエネルギーに。
そんな思いを叶えてくださるのがきびるリメイクさんです。
バッグを眺めながら思い出が蘇り、涙も出てしまいます。思い出を手にとって、思い出を纏って、暮らしていきたいなと思いました。私の幸せな姿が両親にも見えてることを願って。このたびはありがとうございました。
故人を想う心を繋ぐリメイク 黒いトートバッグの後日談
ご両親が大切にされていた遺品のお着物をバッグやスカートへリメイクするという形で、ご実家の片付けという大きな節目に関わらせていただいたことを、大変嬉しく思っております。
じつは後日、O.E様から黒いトートバッグにまつわる素敵なエピソードを伺いました。
あの黒い着物は、もともとO.E様ご自身は、お母様が着ていらっしゃる姿を覚えておらず、特別な思い出はなかったとのことですが、「刺繍が非常にかわいいので、何かにしてほしい」ということでお預かりしてバッグへとリメイクしました。
そして、ご親戚が集まる機会にお持ちになったところ、あるご親戚の方がその着物を覚えていらっしゃったそうです。
「これ、Eちゃんのお母さんの着物だよね。バッグにして大事にしてくれて嬉しいし、お母さんも絶対喜んでるよ」と涙を流され、お二人でバッグを囲んでお母様に想いを馳せたとお聞きしました。
さらにO.E様はご自身の娘さんへ、「私が亡くなったら、この黒いバッグをあなたに譲るね」とお話しされるほど、今ではとても気に入ってくださっているそうです。

形を変えたお着物が、お母様をよく知る方同士の想いを繋ぎ、さらに次の世代へと受け継ぐきっかけとなったこと。天国のお母様やお父様も、きっと喜んでくださっているのではないでしょうか。

このバッグやスカートが、これからもO.E様の毎日にたくさんの笑顔と温もりを運んでくれることを心より願っております。このたびは、大切なお品をお預けいただき、誠にありがとうございました。


